「くつを出船にそろえる。」
少し前の朝礼で、靴をきちんと並べることの大切さ、善いことをすると続いてする人が出てくる、必ず見ている人がいるなどの話を恥ずかしながら自分の子どものころの体験をもとに話しました。
当時は、土曜日に学校があり、昼からお休みになっていたので、その土曜日に、書道教室に通っていました。書道教室は、たくさんの子どもが通っていたので、後になればなるほど先生に出来上がりをみていただく、順番を待つ時間が長くなります。早く遊びに行きたい私は、混まないうちに早く行って終わらせるようにしていました。
しかし、ときには、友だちが隣で、あまりにも上手に「バカボンのパパ」をかいていたので、感心していると先生にその友だちと一緒に叱られることもあった思い出深い書道教室です。
書道教室は、畳の部屋で小さな机と座布団が用意されており、そこに正座をして、練習をしていました。小さな玄関だったので、いつも帰りのころには、自分の靴がどこにあるかわからないぐらいたくさんの靴がひっくり返っていました。ある日から、自分の靴を探す時間とみんなの靴をそろえるのにそんな時間は変わらないと思い、毎回、みんなの靴をそろえて帰っていました。玄関は、教室からは見えない状態なので、こっそりとみんなにばれないように、そろえて帰るということを続けていました。
しばらく経った日、書道の先生に「齋藤さん」とよばれ「どきっ」としました。何か悪いことしたかなと・・・・。「いつも靴を並べてくれているの齋藤さん?」、うなずくと、「今月の月謝いらないわ」と。口数の少ない先生でしたので、それだけでした。
最初はどういうことかわかりませんでしたが、ご褒美にそうしていただけたことが少したってからわかりました。
帰り道、子どもながらにどうしようか困りました。親にどう説明しようかと・・・。
この話を信じてもらえるのか?叱られないか?など帰りの道中、悩みながら帰りました。
その後も続けていたのですが、ある時から靴が並んでいることが多くなりました。
誰か他に並べる子が出てきていたのです。そろえている場面に、出会ったことはないですが、何人かいたようです。嬉しい反面、自分の仕事がとられたようで少し寂しくもありました。人ってむずかしいですね。(自分だけかもしれませんが)
「一日一善」善いことを1日の中で1つしてください。そうすると、協力してくれる人が出てきます。「お家できちんと靴をそろえていますか?」ちゃんとそろえることで、気持ちもそれで落ち着き、いい環境に周りがなっていくことを伝えました。